Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
セッション・ギタリストが新生トリオで来日
2008年12月04日
デヴィッド・サンボーン・グループでたびたび来日し、エキセントリックなステージ・マナーがファンには周知のディーン・ブラウン。今回「DB III」名義の新しいグループを率いて、丸の内「Cotton Club」に出演した。いつもならビールを注文するところだが、今回はウイスキーの山崎がスポンサーということで、山崎&ウォーターを味わいながら開演を待った。バンド・メンバーはウイル・リー(el-b)+デニス・チェンバース(ds)と、ジャズ・フュージョン界で長く活躍し続けるトップ・ミュージシャンだ。全員がリーダーのオールスター・トリオと見做してもよさそうな顔ぶれは、まだアルバムをリリースしていないこともあって、何が飛び出すかわからない期待感が高まっていた。選曲は彼らが敬愛するジャコ・パストリアスやジミ・ヘンドリックスのナンバー等で構成。1曲ごとにMCを務めたブラウンは、サンボーン・バンドの時とは対照的に生真面目なアナウンスによって、知られざるキャラクターを明らかにした。メンバー最年長のリーは58歳になるが、とてもそうとは思えないほど若々しい風貌で、ジャンプしながらのプレイもかつて観た渡辺貞夫の日本武道館公演の時と変わらなくて驚いた。両足のフットペダルを使用したチェンバースのバスドラも、重量感溢れるトリオ・サウンドを演出。フュージョン・ファンには嬉しい一夜であった。