Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー

セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。

丸の内の初荷クラブ・ライヴ

2009年01月08日

 昨年数多くライヴを楽しませてもらったのが丸の内「Cotton Club」。今宵は同クラブで今年初めての出演者となるケニー・バロン・トリオを観た。数年前にバロンにインタビューする機会があり、「スイングジャーナル」で2ヶ月連続のディスコグラフィーをぼくが作ったことを紹介すると、その情報をバロンも知っていて、点と点が繋がる喜ばしい場面もあった。今回のトリオのベーシストでもある北川潔がリーダーになったバロン参加のトリオとそのホール・コンサートの実績もあり、会場には多くの観客が詰め掛けた。90年代初めのスタン・ゲッツとのデュオ作で名声を決定的なものにして以来、バロンはマスター・ピアニストとしての評価を揺ぎ無いものにしている。
 ステージはスタンダード曲「アイ・ヒア・ア・ラプソディ」で始まった。バロンの自作曲「ララバイ」「ニュー・サンバ」と進んだところで、これがアフター・アワーズ的な演者のリラクゼーションに基づいたものではなく、このヴェニューの意義を踏まえたパフォーマンスであることがわかった。スタンダード・バラード「ブルームーン」はシンプルなメロディーを持つオールド・ファッションドな曲調が特徴だが、そんな楽曲をバロンが選んだのは何故かの問いに対する答えは、演奏が進むにつれて徐々に明らかになった。軽やかに指が舞うピアノのアドリブ表現のための、格好の素材なのではないか。かつてインタビューした際に、やりがいのある名曲として「ナルディス」を挙げてくれたことが重なった。自作曲「ニューヨーク・アティテュード」ではバピッシュなテーマから、長時間のアドリブ・プレイで、ピアニストとして語りたい多くのことを一気に表現。思った以上に饒舌なバロンのプレイで、大きな満足感を与えてもらったのだった。

Editorial Office

エディトリアル・オフィスの仕事を紹介します。

Work's Diary

エディトリアルスタッフの取材ダイアリーを紹介します。

Kimono Gallery

染物・着物に関する情報をお伝えしています。

Jazz Diary

音楽評論家・杉田宏樹のライブダイアリーです。

Hachi Diary

セブンオークスのボーダーコリー「ハチ」のフォトダイアリーです。

セブンオークスへのお問い合わせを受け付けております。
メール:hachi@7oaks.co.jp
住所:〒134-0081 東京都江戸川区北葛西2-10-8
Phone:03-3675-8390
Fax:03-3675-8380