Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー

セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。

米国のビッグ・バンドが奇跡の来日

2009年01月24日

 チャールズ・トリヴァーの名前は、70年代にリアル・タイムでジャズを聴いていたファンにとっては今でも特別な響きがある。クロスオーヴァー/フュージョンが台頭し、それ以前のメインストリーム派がヨーロッパに新天地を求め、フリー・ジャズ系ミュージシャンがロフトへと移行した時代、トリヴァーは自主レーベルを立ち上げて、アメリカで自分の音楽を表現する姿勢を貫いた。現在率いるビッグ・バンドの2007年作『ウィズ・ラヴ』が高い評価を受け、同作が来日記念盤としてようやく国内リリースされた盛り上がりでのライヴ@東京TUC。会場は立錐の余地がないほどの盛況だ。個性豊かなメンバーが揃ったBBは、おそらくこの機会を逃したら2度と日本では観られないと誰もが思っていたのだろう。昨年から来日BB公演が顕著になり、このジャンルが盛況を呈していることが印象的な中、トリヴァーBBはアンサンブルの整合性に敢えてこだわらない姿勢によって、他のBBと差別化を図ったとも思えるようなサウンドを展開した。もちろんそのようなアンサンブルが醸し出す動物的なエネルギーにも圧倒された。さらに聴きどころとなったのは個人プレイ。「アイ・ウォント・トゥ・トーク・アバウト・ユー」ではこの曲の決定版を残しているジョン・コルトレーンを想起させるビリー・ハーパーのソロに感銘を受けた。フレディ・ハバードの遺作『オン・ザ・リアル・サイド』で音楽監督の役割を務めたデヴィッド・ワイス(tp)のシャープな吹奏も収穫。アンコールで登場すると、曲名を知らせずに「ラウンド・ミッドナイト」を演奏。終わったところで観客に曲名を尋ねた後、「みなさんは本物のジャズ・ファンです」とトリヴァーがアナウンスして、ハッピー・エンディングとなった。

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