Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
オランダからやってきたバカラック・シンパ
2008年04月27日
トレインチャ@ブルーノート東京。バート・バカラックのソングブックを2枚連続でリリースした、新進女性ヴォーカリストである。ぼくはアルバムを聴いて、なかなか上手いなと感じていた。今夜は最新作がリリースされてからほどないタイミングでの単独公演だ。今日は日曜日なので、平日のBNTとは客層が異なる。休日だから仕事を忘れさせてくれるような、特別な時間を過ごしたい。そんな観客の思いは、トレインチャが提供するお馴染みのバカラック・ナンバーに好ましく反映された。「ザ・ルック・オブ・ラヴ」「恋よさようなら」「遥かなる影」・・・。これらの選曲は10代のぼくが洋楽を聴き始めた70年代とそのまま重なる。50年前にバカラックが書き、トレインチャに録音を勧めて自らアレンジを担当した「ウエイティング・フォー・チャーリー」で、単なるバカラック・カヴァーではない繋がりの深さもアピール。最初のアンコールではバカラックがトレインチャのために書き下ろしたバラードを披露。再度のアンコールでは有名な映画音楽「雨に濡れても」で、日本人観客との距離を縮めたのであった。