Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
渋谷〜新宿&More
2008年04月25日
今夜はライヴのはしご。まず渋谷「JZ Brat」へ向かう。3月に本邦デビュー作をリリースしたジーナ・サプート公演。LAを拠点に活動するイタリア系若手シンガーである。スタン・ケントン楽団で活躍したヴィド・ムッソを叔父に持つという。確かに血筋はいいが、等身大の実力を確かめることも、今夜の主な目的だった。ステージはサプートを含む3人の女性シンガーがステージを分け合うショーケース・ライヴ。その意図は明らかではなかったが、約20分でそれぞれが魅力をコンパクトにまとめたことで、結果的に奏功したと思う。アルバム・カヴァーはオーガニック派美形ヴォーカリストをイメージさせたが、どうして本格派であることがすぐに明らかになった。ポルトガル語によるボサノヴァ曲等の全4曲は、アルバム未収録曲ばかり。「これも私の一面なの」との声が聞こえてくるようだった。
2番手は一昨年に『四月の思い出』を国内リリースしたアニー・セリック。ナッシュヴィル出身者らしいカントリー・レディ色を持ち味とした歌唱を披露してくれた。ラストを務めたのはニコール・ヘンリー。数年前に日本デビューした折、メール・インタビューしたことがあって、それ以来情報を送ってくれている。今日は初めて生ステージに接した。アルバムを聴いた時には気づかなかったが、ニコールの歌唱はホイットニー・ヒューストンを彷彿させるものだった。思った通り、ぼく好みのシンガー。オーラが違う。ラストでは3人がハーモニーで合唱。終演後、ニコールと談笑できたのも収穫となった。
休む間もなく新宿ピットインへ移動。スウェーデンからやってきたパーションクレッツである。懇意にしている森泰人(b)さんがメンバーのクインテットで、彼らの最新作は「スイングジャーナル」の輸入盤情報ページで紹介している。セカンド・セットから観たステージは、アルバム収録曲を中心に新曲も交えながら、室内楽的なバンドの音楽性を楽しませた。終演後リーダーのピアニスト=アンダーシュ・パーションと談笑。その後、六本木へ移動し、いつものダイニング・バーで森さん、サックスのヨーハン・ボリストゥルムと早朝まで痛飲した。