Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
ピアノ大作戦 春の陣第2弾
2008年04月24日
1か月前にも訪れた「門仲天井ホール」へ。前回は演奏中に子供が自由に楽しんでもOK、がコンセプトだったのだが、観客の声を総合的に判断して、今夜は通常のスタイルで運営された。2組のデュオが出演する3か月連続のシリーズ・コンサート。ファースト・セットは本シリーズの主宰者でもある黒田京子(p)と村田厚生(tb)の共演。約20年前にぼくが寄稿していたジャズ誌の編集長を通じて黒田の存在を知り、CDを入手していたことがあった。現在同誌とは縁がなくなったこともあり、今夜はどこか懐かしい気分で会場に入った。
パートナーの村田は現代音楽畑で活動しているトロンボーン奏者。ぼくには初体験だったが、まず古曲と現代曲の独奏により、確かな実力を印象付けた。また谷川俊太郎の詩を朗読した直後、即興的なパスティーシュを披露し、懐の深さを見せた場面も客席を沸かせた。ジャズ・ファンにはガーシュインやモンク曲が楽しめたと思う。セカンド・セットは佐藤允彦(p)&加藤真一(b)デュオ。佐藤は改めて紹介するまでもないヴェテラン、加藤はB-Hot Creationsのリーダーとしても活躍中。2人は独Nagel-Heyerからデュオ・アルバムをリリースしており、お互いを熟知した間柄である。ステージでは佐藤がラップトップを使用し、さながらピアノ+ベース+パーカッション=トリオの様相を呈した。しかし厳密には佐藤が二役をこなしているわけで、バーチャル・トリオによるサウンドの面白さを味わった。
終演後、ピアニスト西山瞳さんと談笑。来月のこのステージには西山さんが出演するので、今から楽しみだ。