Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
新鋭ピアニストの新作直前ライヴ
2008年03月18日
数年間から噂は聞いていた。巧い若手ピアニストがいるという話である。海野雅威は昨年、鈴木良雄トリオ『フォー・ユー』に参加し、広く知られる存在に成長。今夜は4月下旬にメジャー・デビュー作『マイ・ロマンス』のリリースが決定している海野のライヴを、六本木アルフィーで観た。共演者は安ヵ川大樹(b)+加納樹麻(ds)という売れっ子。現在27歳の海野は、上原ひろみや西山瞳に近い世代ということになるわけだが、そのスタイルは彼女たちとは異なっている。プロフィールにはハンク・ジョーンズ、オスカー・ピーターソン、ビル・エヴァンスを敬愛しているとあり、この世代には珍しくモダン・ジャズの伝統に近いタイプと言えるだろう。ぼくが観たセカンド・セットではスタンダード・ナンバーや新作に収録されたオリジナル曲を演奏。海野の優しい人柄が伝わってくるパフォーマンスであった。