Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
フュージョン界の人気鍵盤奏者、待望の公演
2008年03月15日
このところロックやポップスの70年代ものにスポットが当たっているが、先頃リリースされたDVD作が大ヒットとなっているスタッフに象徴される70年代フュージョンも、ファンの支持が根強い。近年はクリス・ボッティやリック・ブラウン作のプロデュース仕事でも手腕を発揮するジェフ・ローバーのステージを「ブルーノート東京」で観た。自身がリーダーとしての来日は実に久々。昨年リリースの『ヒー・ハド・ア・ハット』がぼくのiPodでのヘビー・ローテーションとなっていたこともあり、期待が高まっていた。
バンドは新鋭アルトサックスのエリック・ダリウスを含む4人編成で、演奏はダリウスをフィーチャーする形で進行した。昨年「Cotton Club」に自己のバンドで出演した時と同様、今夜のダリウスはボディ・アクションを織り交ぜながらのエモーショナルなプレイで、自身初お目見えとなるBNTの観客の前で強烈に存在をアピール。オリジナル2曲を披露したあたりに、ダリウスに対するローバーの期待と信頼がうかがえた。プログラムは最新作ばかりでなく、古いレパートリーも選曲し、とりわけ「ウォーターサイン」の再演に昔の自分がオーヴァーラップして嬉しかった。アンコールではルーファス&チャカ・カーンの「エイント・ノーバディ」をカヴァー。今や斯界の大物となったローバーに親近感を抱いたステージであった。