Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
地元で開催されたジャズ・フェスティヴァル
2008年03月12日
文京シビックホールは1970年代に大活躍した文京公会堂が、形を変えてリニューアルした立派な区役所の中に建設されたコンサート会場。ウエイン・ショーターやボビー・マクファーリンなどを同大ホールで観ているのだが、今日は初めて小ホールへ。というのも出演者であり今回のコンサートの企画者でもあるドラマーの小林陽一から、チケットが送られてきたからだ。
小林がアート・ブレイキーを信奉するハードバッパーであることは広く知られるところであり、ファースト・セットを務めた小林陽一&グッドフェローズはその持ち味を存分に発揮した。オープニングを飾った「イン・ケース・ユー・ミスト・イット」はジャズ・メッセンジャーズのレパートリー。拙著『21世紀に伝えたいJAZZ名盤250』で取り上げた『アルバム・オブ・ザ・イヤー』の収録曲ということもあって、個人的には幸先のいいスタートとなった。ビバップ〜ハードバップを自分の音楽性の柱に据える明快な小林の主張は、ジャズに詳しくないように見受けられる地元の年配観客にも伝わったと思えた。
セカンド・セットに移ると村田浩(tp)らヴェテランが登場。コンサート名を「団塊ジャズ・フェスティヴァル08」としたのは、団塊手前の小林がモダン・ジャズ世代へのオマージュを強く打ち出したかったからだという。ベテランの底力を再認識したステージであった。