Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
世界最古のジャズ祭とのコラボレーション
2008年02月29日
1954年に第1回が開催された「ニューポート・ジャズ祭」は、マイルス・デイヴィスやデューク・エリントンなどの優れたライヴ盤を生んだ、史上最古の歴史を誇るフェスティヴァル。80年には「クール・ジャズ祭」と名称を変更し、86年以降は「JVCジャズ祭」として定着している。今回「ブルーノート東京」の開店20周年を記念して、両者のコラボレーションが実現。「JVCジャズ・フェスティヴァル・ウィズ・ブルーノート東京20th」と銘打って、渋谷オーチャードホールでの2日連続コンサートが企画された。今日はその第1夜だ。そもそもジャズ・フェスティヴァルは夏の開催が定番であり、都内でのインドア型国際ジャズ祭では9月の「東京JAZZ」が代表格。その意味でこの時期に開催するのは、新しい試みのイヴェントとして注目に値する。演奏がスタートすると、出演順が事前に配布されたフライヤーとは異なっていることに気づいた。トップ・バッターはハーヴィー・メイソンが実質的なリーダーを務めるパット・マルティーノ+トニー・モナコとのトリオ。すでに伝説となっている波乱万丈なマルティーノのキャリアが、ステージ上の姿にオーヴァーラップし、感慨深いものをおぼえた。次に登場したのはザ・クルセイダーズ。70年代のレパートリーも交えて、長年のファンを満足させてくれた。予想外のトリを務めたのはデイヴ・コズだった。近年「東京JAZZ」やBNT出演を通じて、日本のファンにぐっと存在感が近づいているコズは、サービス精神旺盛のエンタテインメント性に溢れるパフォーマンスを披露。人気アーティストらしく、客席を沸かせてくれた。