Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
新進女性ヴォーカリストの記念ライヴ
2008年02月28日
昨秋メジャー・デビュ?作『フライン・バタフライ』をリリースした上西千波のステージを「六本木STB」で観た。同作はロニー・プラキシコがプロデューサーを務め、ジョージ・コリガン、ティム・アマコストらが参加したニューヨーク録音。今や邦人アーティストのNY録音は珍しいものではないが、80年代のM-Base出身でカサンドラ・ウィルソンの音楽監督としても名を馳せたプラキシコが、アルバム制作に参画したとなれば、これは注目しないわけにはいかない。1月に開催されたジャズ・ディスク大賞のパーティーで上西と知り合ったことがきっかけとなり、本日のステージを迎えたというわけである。共演者はプラキシコを除いて日本人からなるサックス・カルテット。2部構成のステージは同作収録曲のほとんどを含むプログラムとなった。ぼくは同作を聴いておらず、今夜初めて上西の歌唱を聴いたのだが、低音域を中心としたヴォーカルには安定感があり、はっきりとしたMC共々、自信を持ってステージに立っている姿に好感を抱いた。ウッド・ベースに徹したプラキシコは、ソロ・パートを演じたものの決して目立つことはなく、上西のサポート役を演じた。個人的には久々に生を観たピアノの椎名豊が、バッキングの上手さで魅了。次回はもう少し小ぶりなクラブで、インティメイトな雰囲気で楽しみたいと思った。