Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
ジャンルを超えた欧日セッション
2008年02月13日
テリエ・イースングセット@新宿ピットイン。ノルウェーの新世代ミュージシャンにあって、テリエは他の誰とも重ならない独特の音楽性を持つ。“パーカッショニスト”の範疇に収まらないのは、自家製による氷の楽器を使用したアイス・コンサートを企画し、未知の領域に挑んでいるから。2007年には千歳で日本初の同コンサートを開催している。テリエがステージに登場すると、独自の設営を施したドラムス&パーカッションの前に位置を決め、両手で口琴を、両足で打楽器を操りながら演奏。このソロ・パフォーマンスはテリエの引き出しの、特定の部分にスポットを当てたものであり、その意味では初体験の観客にもわかりやすい自己紹介との印象も抱いた。続いて巻上公一とのデュオへ移行。口琴デュオのパートは、多彩な表現力で上回ったテリエに1票。巻上はテルミンと笑いを誘うヴォイスも加え、巻き返しを図った。今夜のステージは邦楽の女性音楽家2名が加わったのが要注目。篳篥(ひちりき)&笙の中村仁美と、ヴァイオリンの鈴木理恵子が、それぞれテリエとデュオを演じた。最後に4人でのセッションを行った場面では、テリエが日本人ミュージシャンたちの音楽性を理解しながら、自身の演奏を展開した様子が伝わってきた。
なおオープニング・アクトを務めた日比谷カタンは、ここピットインで着実にファンを増やしていることが感じられ、ギター&歌唱と自虐的トークとのギャップも冴えていたことも付記しておく。