Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
スーパー・フラメンコ第1夜
2008年02月17日
クラシックのコンサート・ホールとして定評のある「すみだトリフォニーホール」は、ジャズやワールド・ミュージックの企画コンサートにも積極的に取り組んでおり、大きな成果を残している。今日はスペインの人気ギタリスト=トマティートが出演する2つのプロジェクトの初日。「トマティート&ドランテ・スペシャル・ライヴ」と題されたステージは、ピアノのダビ・ペーニャ・ドランテ率いる4人編成のグループが第1部を務めた。フラメンコ界の名門一家に生まれたドランテは、このジャンルでは珍しいピアニスト=リーダーだ。即興的な要素を含むスパニッシュ・テイストの演奏を聴きながら、いつかジャズ・アルバムにチャレンジしても面白い、と思った。第2部に登場したトマティートはジャズ・ファンにもよく知られたギタリスト。ぼくはミシェル・カミロとのデュオを「ブルーノート東京」で観たことがあるのだが、ギターのネックと左手をまったく見ずにプレイする、楽器との一体化ぶりに驚かされたことを覚えている。今夜はピアノはいない6人編成のグループで、トマティートが本領とする世界を繰り広げた。個人的に最も収穫だったのが舞踏家のホセ・マジャ。全身をボディ・パーカッションのように使いながら、切れ味鋭い身のこなしで、たちまち観客の目を釘付けにしたのである。そちら方面と思しきファンから掛け声(合いの手)もかかり、ステージと客席が一体に。ジャズとはまた一味違うスリリングな瞬間を体感した。