Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー

セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。

親日家ベテラン・ピアニストのクラブ公演

2008年01月31日

 70歳を超えて益々エネルギッシュに活躍するドン・フリードマンは、近年日本制作によるトリオ・アルバムによって新境地を切り開いている。今夜は丸の内「Cotton Club」に初出演となった。ぼくは3年前、フリードマンにインタビューをしていて、50年代にマイルス・デイヴィス・グループにあこがれてニューヨ?クに進出したというエピソードを話してくれたのが印象的だった。スタンダード・ナンバーを主体としたファースト・セットでは、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」でマイルスとの思い出を語ってからプレイ。オリジナル曲の「レッド・スカイ・ワルツ」では、『ユーマスト・ビリーヴ・イン・スプリング』の頃のビル・エヴァンスを想起させるピアノのアドリブを聴かせたのが、興味深いシーンだった。60年代初めにリーダー作をリリースした時のフリードマンは、ビル・エヴァンスに続く新感覚派ピアニストと認知されていたからだ。そんなフリードマンがバド・パウエルの偉大さを称えて「バウンシン・ウィズ・バド」を演奏した場面は、モダン・ジャズの偉大な歴史が脈々と続いていることを実感させられた。
 終演後、バックステージでメンバーと談笑。ベースのマーティン・ウインドとはMySpaceつながりで事前にメールのやり取りをしていた。マーティンの厚意で観たセカンド・セットはファーストとダブリ曲が1曲もなく、フリードマン自身が久しぶりの演奏と言った「サークル・ワルツ」や即興色の濃いオリジナルを取り上げて、ぼくを驚かせた。

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