Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
新年のみなとみらいライヴ
2008年01月13日
自宅から片道1時間半、往復で3時間を費やすことになる横浜みなとみらいエリアでの音楽イヴェントは、都内のホールやライヴハウスに足を運ぶことに比べると自分自身に「気合」を入れる必要がある。今夜はニール・ラーセン“オービット”を観るために「モーション・ブルー・ヨコハマ」へ。馬車道駅を下車し、潮風を受けて歩きながら、今年は昨年よりも格段に寒いと感じた。お目当てのニール・ラーセンは1970?80年代のクロスオーヴァー/フュージョン・シーンに足跡を残したキーボード奏者。バジー・フェイトン(g)とのラーセン=フェイトン・バンドは、ぼくを含めて当時の若者から絶大な支持を集め、一世を風靡した。今回はスタジオ・ミュージシャンとしても実績豊富なマイケル・ランドウ(g)をフィーチャーした6人編成のバンドのステージである。オープニングは意外にもモーダルなナンバーだった。ジャズ・クラブ出演ということを意識していたのだろうか。しかしその後はラーセンの持ち味を発揮したナンバーを連発。ランドウは寡黙な仕事人といった佇まいで、テクニシャンぶりを際立たせた。バンド・メンバーでは2006年8月にチック・コリア&タッチストーンで来日しているトム・ブレックライン(ds)が熱演で客席を沸かせてくれたのも収穫。ステージの終盤ではヒット曲の「ジャングル・フィーヴァー」「サドゥン・サンバ」を演奏し、クラブは最高潮に。日曜日ということもあり満員となった観客の反応が熱く、クロスオーヴァー・ファンの根強さを再認識した。