Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
今年最初のクラブ・ライヴ
2008年01月08日
先月出席した「ジャズ忘年会」ではいつもお世話になっている方や、初対面の方を含め、業界関係者多数とコミュニケーションができたのが収穫だった。その時に歌声を披露した藤田佐奈恵のライヴを、渋谷「JZ Brat」で観る。大阪の音楽大学で学んだ後、東京に拠点を移して本格的にプロ入り。近年は環境問題やチャリティ活動にも取り組んでいる。まだアルバムをリリースしていないので、ほとんど予備知識がない状態でステージに接した。ファースト・セットではバックを務める加藤泉(g)カルテットのインスト・ナンバーに続いて藤田が登場。MCで話す時の普段の声に比べると、歌声は少し太い印象を受けた。スタンダードを中心としたプログラムにあって、ヴァースから歌った「ザ・シャドウ・オブ・ユア・スマイル」や、コケティッシュな魅力を表現した「イパネマの娘」といったボサ・ナンバーが好唱。セカンド・セットではジョン・コルトレーンの演奏や、フランク・シナトラの歌唱で知られる「コートにすみれを」(Violets For Your Furs)を、主役を女性に置き換え「Violets For My Furs」と翻案して、オリジナリティを打ち出した。他にもレパートリーが多いようなので、なるべく早いタイミングでデビュー・アルバムを制作するのが、藤田にとって当面の目標だろう。