Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
キューバ出身のピアニストの単独公演
2007年11月24日
90年代初頭、日本に紹介されて、瞬く間に超新星の座を獲得したゴンサロ・ルバルカバ。南米のミュージシャンならではの超絶テクニックを武器に、新世代のトップ・ピアニストに躍り出た男も、すでに40代半ば。今回の来日ではソロとクインテットという2つのステージが、ホールとクラブで用意された。今日はソロ・コンサートを「すみだトリフォニーホール」で観る。ファースト・セットを聴き進める。なかなかゴンサロならではの爆発力が発揮されない。「ベサメ・ムーチョ」で客席に親近感も生まれたが、大きなハプニングはないままに終了した。セカンド・セットでは「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」等の選曲で、現在のゴンサロの姿を披露。長い音楽家生活を考えると、今のゴンサロがテクニック全開で自己表現をするモードではないことが明らかになった。それでもアンコールに4回応えて、初期からのファンにも満足感を与えたようであった。このような発見があるのもライヴだから、だと思う。