Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
スウェーデンの新世代バンドが来日
2007年11月06日
『ディスポジション』でアルバム・デビューしたばかりのニルス・クロウ(p,el-p)を「ブルーノート東京」で観る。クラブ・ジャズ、あるいはヨーロピアン・ニュー・ジャズと呼称されるジャンルのアーティストと見做されるクロウは、まだ23歳の若者。2管クインテットに女性ヴォーカルとDJが加わったバンドで登場した。バンド・サウンドはハードバップをベースとしたもので、トランペット奏者と、テナー、アルト、ソプラノを吹き分けるサックス奏者をフィーチャー。特に複雑な曲展開はなく、むしろオーソドックスなスタイルと言っていいほど。リーダーのクロウがぐいぐいとバンドをリードしたり、自身のソロをたっぷりと聴かせるような構成でもない。バンドのテーマ曲風の「レシグネイション」も小品の趣。アンコールでは日本のファン・サービスということで、スリープウォ?カーのナンバーを、スウェーデン語のヴォーカルと共に披露してくれた。約1時間のステージはあっさりとした印象を受けた。デビュー間もないこのバンドにとって、初来日でいきなりBNTのステージに立つというシチュエーションは、かなりのプレッシャーだったのかもしれない。今後どのような活躍をしていくか、注目したいと思う。