Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
ユニークなおやじバンドの満員御礼ライヴ
2007年06月13日
サックス奏者・宮本大路が中心の5人組ユニット、ピンクボンゴが、セカンド・アルバム『オーチン・ハラショー!』をリリース。その記念公演が六本木「STBスイートベイジル」で行われた。会場に足を踏み入れると、すでに満員の状況。これには驚いた。都内のジャズ系クラブでは「ブルーノート東京」に次ぐキャパシティを誇るSTBが、全席完売である。しかしこのバンド、高橋ゲタ夫(b)、村上ポンタ秀一(ds)といった人気ミュージシャンを擁しており、各メンバーの固定ファンを考えればかなりの観客動員力を持っているのだ。ステージは「ロコモーション」「シェルブールの雨傘」「恋の季節」「情熱の花」等、60?70年代のヒット曲のカヴァーを交えながら進行。
笑いを誘うヴォーカルや語りをふんだんに盛り込みながら、ピンクボンゴ・ワールドを展開してゆく。エンタメ精神旺盛のパフォーマンスは演じるメンバー自身が楽しみ、それをオーディエンスも楽しんでいる格好だ。そんな中にあって宮本自作曲「コルトレーン・カルチャー」等のインスト・パートでは、ジャズ・ミュージシャンとしての本領を発揮。宮本はソプラノ、アルト、テナー、バリトンの各サックスとフルートを持ち替えて、マルチプレイヤーの実力を示した。また現在局地的なトレンドになっている「和ジャズ」を思わせるナンバーがあったことも特筆しておきたい。佐野聡(tb,per)らゲスト出演も含めて、満腹のコンサートだった。