Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
邦人女性ヴォーカリストが夢の共演を実現
2007年06月30日
エリック・アレキサンダーとハロルド・メイバーン・トリオが参加した昨年リリース作『フェイス』が話題を呼んだ平賀マリカ。今回日本で人気の高いマンハッタン・ジャズ・クインテットを起用した新作『クロース・トゥ・バカラック』の発売記念コンサートを、半蔵門のTOKYO FMホールで観た。ぼくがレギュラー出演しているミュージックバードの番組を収録しているスタジオと、同じ建物である。新作は米国ポピュラー音楽界の大御所作曲家であるバート・バカラックの名曲を集めたソング・ブック。アルバムにバカラック・ナンバーを取り上げるジャズ・ミュージシャンは少なくないが、フル・アルバムとなると話は別だ。
しかもMJQとの共演は強力な援軍を得たと同時に、大変なプレッシャーとなったことは想像に難くない。2セットで行われたステージで、MJQの面々は平賀に最良のサポートを行った。スタジオ・シーンで腕利きの面々がバックで演奏するのだから、これこそヴォーカリスト冥利に尽きるというものだ。曲間のMCでは日本語に堪能なデヴィッド・マシューズ(p)と平賀のやり取りが笑いを誘った。ステージが進むにつれてメンバーも寛いできたようで、チャーネット・モフェット(b)のパフォーマンスもグッド・ジョブ。邦人女性ヴォーカル・シーンで一気に存在を高めた平賀の、好調ぶりを印象付けるコンサートであった。