Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
ノルウェーを代表する新世代トリオが来日
2007年06月25日
“新宿ピットイン”でホーヴァル・ヴィーク・トリオを観る。新作『アーケイズ・プロジェクト』のレコーディング・メンバーによる来日公演だ。ヴィークは同国で今最も勢いのあるグループ“アトミック”の一員で、ピットインにも出演している。ぼくは2003年にノルウェーのコングスベルグ・ジャズ・フェスティヴァルを取材した時、ヴィーク・トリオを観て、強く印象付けられた。メンバーが変わったことも含めて、期待を抱いて店内に着席。ステージは新作からのナンバーを中心に、新曲も含めたプログラムとなった。楽想は大きく言って2つに大別されると思う。その中でピアノ・トリオの伝統的手法にとらわれないヴィークの演奏は、高いレヴェルの技巧を感じさせるものだった。ベンヤミン、アドルノ、カフカら文学的・哲学的な素材にヒントを得て作曲した新作は、一見難解なイメージもあるが、アルバムから伝わってきたダイナミックレンジの広さを、ライヴ空間で体感できたのが収穫。アンコールではオーネット・コールマンのナンバーをカヴァーし、彼らの嗜好性を示した。
終演後、アーバン・コネクション?トロンハイム・ジャズ・オーケストラを通じて友人関係にあるドラムスのホーコン・ミョーセット・ヨハンセンと旧交を温めた。アーバンは残念ながら解散したとのことだ。