Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
地中海音楽の夕べ 第3夜
2007年06月08日
イタリア中・南部の伝統を継承したグループが出演するシリーズ・コンサート。今夜はオッフィチーナ・ゾエをイタリア文化会館で観た。客席を見渡すと大使館関係者のほか、イタリア語を学んでいると思われる若者が多い。定時までには満席になり、補助椅子が並べられるほどの盛況となった。90年代初頭に結成されたオッフィチーナ・ゾエはサレント地方の伝統音楽ピッツィカ・ピッツィカに光を当てて、現代的なサウンドを創造している。7人編成のグループはヴォーカル&タンブリン(大型のタンバリン)の使い手がリーダーでMCを務め、プログラムは進行した。
ステージ中央に立った若手とベテラン(?)2人の女性ヴォーカリストは個性が異なるが、いずれも声量豊かで強力。伝統的な民族音楽を体現するばかりでなく、異文化の交差点である地中海エリアならではの特徴が彼らの魅力だ。2人のタンブリンが打楽器奏者の役割も演じたのだが、なかなかの重労働と聴いた。後半になるとメンバーが赤ワインを飲み、寛ぎながら演奏。これもイタリア流か。終演後にワイン・サービスがアナウンスされていて、それをいち早くステージで展開する格好となった。賑やかな祝祭空間が現出し、観客も盛り上がった。会場から建物の外へ出ると、ワインと予定外の軽食が用意されていて、そこだけが異国の様相を呈していた。