Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
フィンランド・ジャズの第2週
2007年05月30日
先週はレセプション・ブッフェ、トレードショー、昼夜のクラブ・ライヴと、フィンランド・ジャズを集中的に紹介するイヴェントが連日開催された。今夜は日本人ミュージシャンとの混成バンドが新宿「ピットイン」に出演。リーダーのニクラス・ウインター(g)は2年前にヘルシンキのジャズ・フェスティヴァルに取材に行った時、同地で初めて会ったギタリストだ。自主レーベルAbovoiceの主宰者でもあり、今回はミュージシャンのみならずビジネスマンとしての来日目的もあった。2年前にぼくがフィンランドを訪れた直後にニクラスは来日しているが、今夜はその時と顔ぶれが変わったバンドだ。
何よりも特筆すべきはファイヴ・コーナーズ・クインテットのフロント・メンバーとして人気者になっているユッカ・エスコラ(tp)が参加したこと。会場はエスコラ目当てと北欧ファンの若者が多数詰め掛けていて、ヨーロッパ・ジャズに新しい流れが生まれていることを実感した。演奏はシリアスでシャイなキャラクターを反映したニクラスのナンバーと、明るいサンバ・テイストのエスコラのナンバーとで構成。ステージが進むにつれて日欧のミュージシャンが、バンドとしての緊密性を形作ったあたりが収穫だった。終演後ニクラスと旧交を温めた。年内にセヴェリ・ピューサロ(vib)を含むバンドでの再来日が決定したとのこと。こちらも楽しみである。