Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

2013年04月05日  日本在住米国人のレコ発ライヴ

2013年04月05日

ジェイコブ・コーラー@STB。以下に「ジャズジャパン」6月号掲載のライヴ・レポートを転載する。
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1月に新作『シネマティック・ピアノII』をリリースしたジェイコブ・コーラーの記念ライヴ。同作は2011年秋に出た前作が好評を得て、本人もまだまだカバーしたい映画音楽があるということで制作された。当夜はレコーディングのバンド・メンバー5名がそのまま参加する理想的な編成。ファースト・セットの幕開けは前作のやはり1曲目に入っているエンニオ・モリコーネの名曲で、アルバム・バージョンとは変えて中間部にピアノとピチカート・バイオリンのデュオを挿入した。一転して全員でアストル・ピアソラのタンゴ名曲を情熱的に演奏すると、映画『ディア・ハンター』からのナンバーの美旋律を際立たせる。かつて映画音楽の作曲家を志望し、そのための勉強を続けたキャリアを反映したのが自作曲<シネマティック・ピアノ・テーマ>。バイオリンが主旋律を奏で、やがてトリオが一つのメロディに重なってゆく書法センスは、コーラーの今後の可能性を示唆した。本シリーズ作に連続参加した畠山美由紀が赤のドレス姿で登場すると、ステージは一気に華やいだムードに。「ムーン・リバー」を正調バラードで歌い、コーラーの提案を受けて前作で歌った「スマイル」をすっかり自分のレパートリーにした。
 セカンド・セットに進むと、トリオのみのショパン曲ではジャジーなアレンジに、ロック調やスロー・テンポで変化をつけ、映画『タイタニック』の収録曲をドラマティックな原曲よりもしっとりとまとめる。やはり新作に参加した青木カレンが、故郷のような地元の公園を思い出しながら歌った「ジョージア・オン・マイ・マインド」は、ブルース・シンガーではない青木の声と同曲の組み合わせの面白さを狙ったコーラーの企図が奏功。タッチの美しさがライヴでも映えたコーラーが、「マイ・フェイバリット・シングス」ではジョン・コルトレーンに由来するモーダルなプレイで、別の一面も披露。ピアノを共通楽器として、ジャズ・トリオとクラシック・トリオが合体した5人編成のアイデアが光るステージだった。

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