Hachi Diary ハチの散歩日記

杏菜さんの動物記念祭に寄せて J&M@武石

2015年11月10日

★Mary&John@武石
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杏菜さんのお話、私も共感し、感動し、心からうれしく思い、そしてあらためて考えさせられました。

私は、先代犬「けん」が亡くなってから、普段何気なく使っている「ペットは家族」という言葉の矛盾に直面したことを思い出しました。

杏菜さんの学校では、動物たちのためにお祈りを捧げるということでしたが、すばらしいことだと思います。と言うのも、キリスト教は動物に魂の存在を認めていません。これは何とアリストテレスの時代(O_O)に構築された哲学と神学が手つかずのまま、誰も疑問を投げかけることなく現代まで続いているためです。

従って仏教では行われる動物の葬儀等、供養に関わる一切のセレモニーは、キリスト教では宗派問わず、一切行われていないのです。(おそらく多くの司祭職の方々は、今時そんな…と思いながらも、人間のことで手一杯で、この神学に対する再検討が行われていないために、公に供養ができないのだろうと、私は考えています。)。

私はカトリックなのですが、日本に生まれ育ち、「すべての命は平等に尊い」と単純に刷り込まれていた私にとって、教会は「家族」である犬のために、お祈りのひとつも捧げてくれないということを知った時は大きなショックを受けました。そしてこのことをきっかけに、「動物の命」について、いろいろ調べ、考えるようになりました。

私たちは「ペットだから命を大切にするのか、野良犬・猫の命の重みはペットより軽いのか、豚や牛は平気でおいしく食べるのに、犬を食べることには抵抗があるのはなぜか、家畜の命はペットより軽いのか、自分たちが飲んでいる一粒の薬の開発や病気の治療の研究のために、どれだけの動物の命が使われているのか、仏教では動物はもちろん、虫や草木の命も尊ぶというが…etc」

「寄生獣」という映画の中に、染谷将太扮する主人公が、交通事故で死んでしまった子犬を拾い上げ、ひょいとゴミ箱に捨ててしまう場面が出てきます。それを見た恋人が「なんてひどいことをするの?」と責めると、「死んだんだからもうコイツはただの肉だろ」と返す台詞があるのです。この場面は主人公が人間性を失ったことを示すことを意図して挿入されているのだと解釈していますが、果たして私たちは、「主人公か」「主人公の恋人か」どちらの感性を優先して生きているんだろうと突き詰めた時、ものすごく深い意味を持つような気がしました。

家族として家に迎えられ、病気になれば何十万円というお金をかけて治療を受け、愛情を一身に受けて一生を過ごす命もあれば、身勝手で残酷な扱いを受けて、人間のために失われる命もあるという現実。なすすべのない身勝手さとでも言いましょうか、人間はすべて猟奇的であるとすら感じることがあります。

しかし私自身は、だからと言ってベジタリアンになることもなく、癌になった時に薬や治療を拒否したりする勇気はなく、またさらには蚊やゴキブリをうっとうしく感じ、駆除するのです。

殺処分の実態、ペット業界の闇、動物の魂、などを扱った本も数冊読みました。同様の本をお読みになった方も多いと思いますが、その中には「売れ残った犬猫を冷蔵庫に入れ、死んだらゴミに出す」というペットショップの実態、「自分の責任で殺す」とボタンを押す殺処分場の職員の方の話、「命を救うために獣医になったのに」と心を病みそうになりながら殺処分のための注射をする獣医さんの話などがあり、どれも重く考えさせれられるとともに、無力感をいっそう刺激されるような内容でした。

長々と話があちこちに飛びましたが、どれも目を背けたい現実ばかりです。そして杏菜さんが「目を背けたいもの」に目を向けつつ、前に進もうとなさっていることに希望を感じます。
命あるものはすべて、他の命を犠牲にしなければ生きられないということは当たり前の日常です。そして現代社会は、その日常を差し障りを感じない美しい形に変えてしまいます。だからこそ決して鈍感になってはいけないということを、あらためて考える機会を杏菜さんに与えていただきました。

最後になりますが、先代犬「けん」は、所属の教会の神父さまのご理解で、昨年無事、納骨ができました。(神父さまがお墓に同行し、お祈りをし、聖書を読み、聖歌を歌い、聖水をかけ、納骨式をして下さいました。) ☆そしてMaryとJohnが我が家に来ました!?

ただ、そこに至るまでの道のりは長く苦しかったので、同じ苦しさを抱えているクリスチャンの方がいらしたら、是非思いをシェアさせていただきたいです。

------お便りはこちら→ hachi@7oaks.co.jp
★ハチ@小野里
武石さん、たいへん示唆に富んだお便りありがとうございます。
杏菜ちゃんの投稿をきっかけに、皆さんがなにかを感じ取って、こうしてブログ上で交流されることは、私にとってはたいへん嬉しいことです。

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