Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
東京JAZZ第3日
2007年09月22日
この日は昼夜の2回公演がプログラムされ、フェスティヴァルのハイライトとなった。昼の部は松居慶子、リー・リトナー、ボブ・ジェームス、エリック・ベネイ&マイケル・パウロ・バンドの4組が出演。最も印象的だったのがボブ・ジェームスで、DJを起用したバンドはヒップホップ方面でジェームスの作品がサンプリングされ、定番ネタとして有名になっている状況に、本家が応える形となった。ラストの「ウエストチェスター・レディ」では、出番を終えていた松居慶子が登場して、ジェームスとのピアノ連弾を披露。スムース・ジャズ界の超世代共演が実現したシーンとなった。
夜の部は「マスターズ・セッション」と題して3組が出演。トップ・バッターのベニー・ゴルソン・カルテットは、今回のフェスティヴァルにあって唯一のアコースティック・ジャズ・コンボだ。スピルバーグ監督作品『ターミナル』に出演したことでも話題になったゴルソンは、同作の日本封切と同じタイミングで来日しており、現役のジャズ・ジャイアンツの1人として存在感を示したのが記憶に新しい。
今夜のステージでは「ウイスパー・ノット」「アイ・リメンバー・クリフォード」「アロング・ケイム・ベティ」等の代表曲をMCで紹介しながら取り上げた。演奏を聴きながら、作曲家ゴルソンの素晴らしさとモダン・ジャズの歴史が重なり、今このタイミングで日本に居ながらにしてゴルソンの演奏を体感できることの幸せを噛み締めた。トリを務めたのは東京JAZZ2007スペシャル・セッション。ランディ・ブレッカーとボブ・ミンツァーがフロントを飾るセクステットは、70年代ブレッカーズの「ストラップハンギン」でスタート。マイケル・ブレッカーへの追悼を打ち出したパフォ?マンスは、「ロックス」も選曲し、スペシャルに相応しいステージに。アンコールで「ジャン・ピエール」を演奏したのは、マイク・スターンの自薦だったに違いない。