Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
2000年代の名デュオ・チームが初来日
2007年09月27日
2枚のアルバムをリリースしたパット・メセニーとブラッド・メルドーが、カルテットで来日。渋谷NHKホールでの公演を観た。昨年、第1弾がリリースされたタイミングでメセニーとメルドーにインタビューした折、「来年の秋には日本公演ができると思うよ」と言っていたことが実現したわけである。すでに全米とヨーロッパ・ツアーを経ての上陸であり、ライヴ・パフォーマンスがかなり練れていることは想像に難くない。ステージはまずメセニー=メルドーのデュオでスタート。アルバム未収録曲「エアジン」は最初のデュオ・パートでのハイライトとなった。その後カルテット?デュオと進み、2度目のカルテット・パートではサラ・ヴォーンの歌唱でジャズ・ファンに知られるアルバム未収録のミルトン・ナシメント曲「ヴェラ・クルーズ」も披露。ラリー・グレナディア(b)とジェフ・バラード(ds)はメルドー・トリオのメンバーなので、カルテット=メセニー&メルドー3と見ることもできる。しかしデュオ、カルテットのどちらにおいても、サウンドの中心にいたのはメセニーだった。アルバムでは気にならなかったが、ライヴを初めて観て、デュオにおいても想像以上にメセニーの存在感が大きかったのは意外。プロ入りする前からメセニーのファンだったメルドーにとって、共演する喜びのファン気質がプロ意識を上回った、などということはないと思うのだが。それにしても休憩なしで2時間40分を演奏し通し、終演時にそれほどの長さを感じさせなかったのは、演奏が充実していた証し。ピアノのアコースティック感が損なわれていた音響には苦言を呈したい。