Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー

セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。

スウェーデン到着

2007年07月19日

 成田からフランクフルト経由でストックホルムに向かう。乗り換えの時間を含めると、15時間近い空の旅となった。それにしてもエコノミー・クラスの長旅を2年前の前回以上にきつく感じたのは、肉体的な変化と関係しているのかもしれない。ちなみにスウェーデンと日本の時差はマイナス7間。19日の10時に日本を出発して、現地に到着したのが同日夜というわけだ。今回はレコード会社からのオファーを受けた取材旅行で、担当の西村さん、ライターの服部さんとの3人旅。アーランダ国際空港に到着し、ゲートを出ると「Stockholm Jazz Festival」のカードを掲げた女性スタッフが出迎えてくれた。そして地上へ出た瞬間、北欧ならではの心地よい空気が流れてきた。こればかりは実際に体験しないとわからない感覚だと思う。車で市内のホテルへ移動。フロントに着kuと、先に現地入りしていたスパイスオブライフ佐々氏、ピアニスト西山瞳さんと合流した。西山さんのスタジオ・レコーディングおよびジャズ・フェスティヴァルとジャズ・クラブ出演の取材が主な目的である。チェックインを済ませ、全員でレストランへ。美味しいミートボールで知られる「Backfickan」というお店のテラスに着席。夜の8時過ぎだというのに、まだ外は明るい。この時期の北欧特有の気候であり、人々は戸外での時間を目一杯エンジョイする。それは老いも若きも、すべての大人がこの季節を楽しんでいるように映る。食事が終わったところで、フライトの疲れが残ってはいるものの、やはりせっかく来たのだからということもあり、SJFのメイン会場へ向かった。シェップスホルメン島のメインステージでのジョー・サンプル&ランディ・クロフォードだ。2人は近年共同名義作をリリースして話題を呼んだが、元々はサンプルが在籍したザ・クルセイダーズの大ヒット曲「ストリート・ライフ」にクロフォードが参加したことにさかのぼる。ステージはまずサンプル・トリオでスタート。サンプルのリーダー・アルバムからの「スペルバウンド」やスタンダード曲「ストーミー・ウェザー」を演奏。MCで自身の音楽キャリアを語るスタイルは、昨年「ブルーノート東京」に出演した時のそれを踏襲している。

 そしてクロフォードが登場すると、客席から期待感が沸き起こった。「レイニー・ナイト・イン・ジョージア」「エヴリバディズ・トーキン」「リオ・デ・ジャネイロ・ブルー」と、他のシンガーによるカヴァーでもお馴染みのナンバーを歌い、?あの頃“と変わらぬ歌声を披露してくれたのが嬉しい。スタンダードの「バット・ビューティフル」では、ジャズ・ヴォーカリストとしての底力を発揮した。そしてラストはやはりあの曲でないとステージが終わりにはならない。というわけで「ストリート・ライフ」のイントロに再び客席が沸くと、母国のトップ・トロンボーン奏者であり、新生クルセイダーズに抜擢されたニルス・ラングレンが現れて、サンプル・トリオ+1を結成。70年代のクルセイダーズへの憧れを来日公演で明らかにしたラングレンにとって、このステージでの助演は本望だったに違いない。もう1人管楽器奏者が加われば、ブラスの厚みが出たはずだが、ラングレンは母国を訪れたサンプルを精一杯もてなした。こうしてストックホルム初日の夜は更けていったのだった。

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