Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
カナダからまたしても新星が登場
2007年07月18日
マイケル・ブーブレ、ソフィー・ミルマンなど実力派の若手ヴォーカリストを輩出しているカナダから、また1人才人が生まれた。シンガー&ピアニストのエリザベス・シェパードである。先頃日本でもデビュー作『スタート・トゥ・ムーヴ』がリリースされたことを受けて初来日。今夜は4日連続公演の初日、ファースト・ステージを丸の内「Cotton Club」で観た。同作は著名ジャズメンの名前が次々と飛び出すオリジナル曲や、自作詞をつけたクリフォード・ブラウン曲など、ジャズの伝統に対するシンパシーを表明しつつ、現代的なセンスで自分流の味付けをしているのが印象的だった。バンドはベース+ドラムスとのシンプルなトリオ。80分あまりのステージはシェパードの歌唱とピアノがたっぷりと味わえるもので、プログラムが進むにつれてメンバーのソロ終わりで拍手や歓声が沸くなど、会場のムードも好ましくなった。
シェパードが「最も影響を受けたミュージシャン」というハービー・ハンコックの「カンタロープ・アイランド」と「処女航海」を下敷きにした自作曲は、ベーシストの動きも含めて興味深く聴いた。どこか素人っぽさを残した歌いぶりも、ライヴならではの新発見であり、シェパードの個性として好感度を抱いたのだった。